OUTRAGE CODA (2017) / アウトレイジ 最終章

『アウトレイジ 最終章』(アウトレイジ さいしゅうしょう)は、北野武監督による日本映画。2017年10月7日に日本公開。R15+指定。
キャッチコピーは『全員暴走』。
第74回ヴェネツィア国際映画祭のクロージング作品となった。

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OUTRAGE CODA (2017) / アウトレイジ 最終章のあらすじ

関西最大の暴力団・花菱会は代替わりし、先代会長・布施(神山繁/本作出演なし)の娘婿である元証券マン・野村和夫(大杉漣)が会長に就任した。しかし堅気出身で高慢な野村は組織内での人望がなく、特に古参幹部の若頭・西野一雄(西田敏行)との反りが合わなかった。薬物売買を禁止していた先代の布施と異なり、野村は金さえ儲かれば何でもありというスタンスであった。この野村体制のもとで台頭したのが新興勢力の花田組である。組長の花田和弘(ピエール瀧)は闇金・薬物売買で多額の利益を出しており、さらに野村に直接献金して歓心を買うことにより、花菱会内部での地位を高めていた。

他方、大友(ビートたけし)は日韓フィクサーの張大成(チャン・テソン)会長(金田時男)の計らいにより日本を出国し、張の故郷である韓国・チェジュ島の歓楽街で、張が運営する組織の用心棒を務めていた。用心棒仲間には日本人の市川(大森南朋)と、韓国人数名がいた。

花田は、野村が開く定例会議をすっぽかして、懇意にしている筆頭若頭補佐の中田勝久(塩見三省)に「韓国にうまい話がある」と言い残し、韓国・チェジュ島に女遊びに出かけていた。テハン・リゾートホテルに宿泊した花田は、出張風俗の韓国女性2名がSMプレイに対応できないことがわかると激怒、組の手下を使って女性たちを脅迫した。このことを知った用心棒の大友と市川たち数名はホテルに急行し、花田たちを一喝。大友たちの剣幕に恐れをなした花田は「詫び料として200万円払う」と言ったが、金に汚い花田は詫び料を本気で払うつもりは毛頭なく、後日、金を受け取りに来た張グループのドライバー、高成進(コ・ソンジン)に花田組の手下を使ってアイスピックで拷問を加え殺害した。仲間の高が殺されたことに、大友と市川は激怒する。

日本に帰国後、花田は焼肉店で兄貴分の中田に対して、チェジュ島での出来事を自慢気に語った。しかし、焼肉店の従業員でチェジュ島出身の在日韓国人・ゴン(仁科貴)にチェジュ島のホテルや歓楽街を仕切っている人物が誰なのか中田が確認したところ、日本在住の張会長と、兄弟分の尹(ユン)会長であることが判明する。中田は花田がチェジュ島で起こしたことの重大性に気づき、花田に高殺害の慰謝料として現金3000万円を用意させ、張会長のもとに向かう。

しかし、張と腹心の李(白竜)は3000万円を頑として受け取ろうとしなかった。さらに、中田の発言[注釈 8]に張が激怒。張は李に現金3000万円を金庫から持ってこさせ、合計6000万円の金を中田と花田に突き返した。窮地に追い込まれた中田はやむを得ず会長の野村と若頭の西野に相談。西野は花田を連れて張のもとを訪れ、慰謝料を渡そうとするが、中田の時と同様、張に全く相手にされなかった。日頃から西野と折り合いが悪かった野村はこのことに目を付け、若頭補佐の中田に花菱会の会長ポストをちらつかせながら、張と西野の対立を煽ろうと画策する。

一方、関東ヤクザ・山王会は花菱会の傘下に入った後、著しく弱体化していた。東京の木村組のシノギは全て花菱会が独占。生え抜きの山王会の幹部である会長・白山広(名高達男)と若頭・五味英二郎(光石研)は、花菱会本部から送り込まれた若手幹部の木村組組長・吉岡(池内博之)の尊大な態度に不満を抱いていた。

野村と花田は張の殺害を計画し、その責任を西野になすりつけようとした。吉岡の監視のもと、花田組の舎弟である丸山(原田泰造)他、合計5名のチンピラを使って張が通う喫茶店を襲撃し、張の組織の幹部である崔(津田寛治)のほか、張グループの数名を射殺。丸山は張に銃口を向けるが、張の雰囲気に圧倒されている間に、背後から近づいてきた張の腹心・李によって射殺される。

度重なる花菱会の凶行に対してチェジュ島にいる大友は激怒し、偽造パスポートを使って日本に入国した。大友は李の運転するシルバーのベンツSクラス(W221系)で張のもとに向かっていたが、空港から尾行していた警視庁のマル暴刑事・平山(中村育二)と繁田(松重豊)に車を止められ、大友は任意同行で警視庁に連行される。繁田は大友に対して山王会元会長・加藤稔(三浦友和/本作出演なし)と悪徳マル暴刑事・片岡(小日向文世/本作出演なし)の殺害に関する厳しい尋問を行うが、日韓のフィクサーである張が警視庁の上層部に圧力をかけて、大友に対する取り調べは中止された。海外逃亡していた大友の追跡に執念を燃やしていた繁田は激怒するが、日韓間の国際問題への発展を恐れて張の意向を忖度した警視庁上層部により、繁田は暴力団対策課(四課)から二課への転属を命じられたため、後に居酒屋で平山と飲んだ後に辞表を叩きつけた。

警視庁を出た大友は、同じくゴンが手配した偽造パスポートで入国した市川たちと合流し花菱会への襲撃を開始。ゴンが用意した拳銃で武装し、手始めにバーにいた吉岡を射殺。吉岡の居場所を大友に教えたのは、吉岡の尊大な態度に不満を持つ山王会の白山と五味であった。

花菱会に対して報復に動かない張に対して、側近のオレンジ髪の若衆(石塚康介)は義憤に駆られ、単独で野村を拳銃で襲撃する。防弾車でない野村の車(GZG50系トヨタ・センチュリー)の後部窓ガラスは粉々に割れたものの、野村は奇跡的に生き残り、オレンジ髪の若衆は花菱会の手によって射殺された。自分の車が防弾車でなかったことが判明し、野村は激昂する。

花菱会若頭補佐の中田は、会長の野村の甘言を信用しておらず、昔から信頼関係を持っている若頭・西野に野村の謀略を全て説明していた。そこで、西野は一計を案じ、自らが張に殺されたかのように装う。花田は、西野の脅迫により、西野の「死」を野村に報告。目の上のたんこぶだった西野が死んだと思った野村は上機嫌であった。

大友と市川は次の花菱会襲撃計画に動きつつあったが、「張会長の兄弟分の尹会長の手下」と称する韓国人が数名合流しようとしてきた。しかし、この連中は一部の人間だけが知っていた尹会長の妻の死を知らなかったことから、大友は花菱の送った偽物と断定。ワンボックス車の中で撃ち合いになり、全員射殺するが、この中で市川とともに来日していた張グループ若衆2名を死なせてしまう。その結果、大友と市川の2名だけで花菱会を襲撃せざるを得なくなった。大友たちに合流しようとしていた韓国人はアサルトライフル・M4カービンなどの強力な殺傷力を持つ武器を持参していた。

表向き、死亡したことになっている西野は影で動き始める。屋上駐車場に大友と市川を呼び出し、今回の抗争の発生について花田に詫びさせる。さらに、花菱会による張襲撃の黒幕が野村であることを明かし、花菱会中堅幹部・河野直樹(桐生コウジ)の出所パーティーに出席する野村を襲撃するように大友をそそのかす。ところが、ケチな野村は中堅幹部の河野の出所に対する祝い金を払いたくなかったためにパーティーを欠席した。西野は野村の欠席を知り、大友による襲撃をやめさせようとするが、大友は花菱会に対する報復の意志が固く、パーティー会場に傘に隠して持ち込んだM4カービンを市川と共に乱射、河野を始めとする花菱会組員を大量に射殺した。

その後、西野は野村がいる花菱会本部に急行。西野が生きていたことに野村は驚き、腹心であった幹部の森島(岸部一徳)を焚き付けるが、西野の生存を確認した森島は寝返る。西野や森島たちの手下に花菱会本部から引きずり出された野村は山中に連れて行かれ、そこに待っていたのは大友であった。大友は野村に「キャンプ楽しんでもらおうかと思ってな」と言い放つと、車の往来の多い夜の峠道に野村を首だけを出した状態で生き埋めにする。野村は夜間走ってきた車に轢かれ、即死した。山王会の五味は、どさくさに紛れてもともと折り合いの悪かった白山を射殺し、花菱会には大友の殺害であると報告した。

野村の死により、若頭の西野が花菱会の新会長に若頭補佐の中田が若頭に就任する。花田は若頭補佐に昇格するが、花田を嫌う西野はさらなる計略を案じていた。変態嗜好の花田をおびき出すために「幹部昇進祝い」と称してSM嬢2名に接待させると同時に、大友と市川にホテルの場所を教えて花田を襲撃させ、殺害した。

さらに、西野は大友の殺害を最終的な視野に入れ、張会長の腹心である李を焚き付けた。そのことを知らない大友は、市川をチェジュ島に帰した後、李が運転するシルバーのベンツでスクラップ工場に向かう。この工場は元・山王会組員(四方堂亘)が工場長を務めていた。工場長は元山王会会長・加藤の側近で、悪徳マル暴・片岡の教唆により、大友の兄弟分だった木村(中野英雄/本作出演なし)を殺害していた。大友は木村殺害に対する復讐のため、工場長と工員の2名を射殺した。しかし、花菱会・西野の意向を受けた李は「大友さん、これ以上会長に迷惑をかけないで下さいよ」と言って大友に拳銃の銃口を向ける。大友は「李さん、あんたがそんなことする必要ないよ。会長によろしく。」と言って自らの頭を拳銃で撃ち抜き、自害した。その後、李は張会長に「大友さん、死にました。会長によろしく伝えてくれと言ってました」と大友の遺言を伝えた。

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